別人になりたい
親には申し訳ないが名前を変えたい。
『のりまさ』と発音するのではない。
典雅と書いて『てんが』と発音する。
流派は書けないが日本舞踊の師範代である父親が
「整っていて上品なさま。みやびなさま。」という意味で
1994年生まれの私につけてくれた名前だ。
名前だけなら、まだ我慢できた。
誕生日が7月21日。
誕生日フォームに入力するときは「0721」、
考えたくないのに「オ、ナ・・・」。
スパイになって、いくつもパスポートを持っている妄想を
もう何千回しただろう。
新しい場所へ行く度に、両親からすまないと言われる。
就活のときも苦痛だったが、
社会人になって、名刺を渡すのがもっと苦痛で早々に会社を辞めてしまった。
典雅の無い世界へ行きたい。
いっそ、典雅に就職できないだろうか。
一生懸命働いて、役員クラスになれないだろうか。
という人がいるかも知れないと思って、その苦悩を想像しました。
おしまい。